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執筆者の写真吉岡

立山(雷鳥沢)

更新日:2023年2月26日




○山行日:2022年4月17日

○メンバー:Lサトシン、吉岡、川島、斎藤、山田

○天候:晴れ

○コースタイム:雷鳥荘7:50→剣御前小屋10:50〜雷鳥沢滑走→雷鳥荘12:30→室堂13:50

○報告者:山田 




明け方に満月の瞬間を迎えたピンクムーン(アメリカでは4月の満月をこう呼ぶ)は西の空で大汝山に並ぶように浮かんでいる。風は強そうだが、今日も天気だ、と宿泊している雷鳥荘の朝風呂に浸かりながら、窓の外に広がる景色を眺める。なんと贅沢な1日の始まりなのだろう。

6時に朝食を取り、身支度を整え、山に必要のないものを宿で預かってもらう。今日は室堂16時30分の扇沢行き最終バスにはなんとしても乗らなければならない。そして天気も午後からは下り坂の予報。雷鳥沢から剣御前小屋まで上って、雷鳥沢を滑り降り、雷鳥荘に昼過ぎには戻る山行予定で出発した。



サトシンリーダーを先頭に、山田、川島さん、吉岡さんと続く。4月だというのに今シーズン山スキー1日目の私。高度順応が苦手なうえに、上るのも苦手。「歩幅を広げすぎると息が切れちゃい


ますよ」「もっと顔を上げた方が多分、楽に歩けます」「ゆっくりで大丈夫」「その調子」とメンバーからの声がけをしてもらえるのがありがたい。



体力のある斎藤さんは急登でも


直登してきていたが、途中でクトーが壊れてしまい、シートラで登る。そして、我々も剣御前小屋への最後の稜線にかかるところで、雪も硬くなってきたこともあり、メンバー全員シートラで、細い尾根を落ち

ないように慎重に歩いていくことになった。

あともう少し……。体が持っていかれそうな強風、気温も低い。やっとのことで(他のメンバーは余裕でした!)剣御前小屋前の稜線に到着。雄々しい剱岳の前で、それぞれポージングをして写真を取り終えると吉岡さんが「風のないスポットがあります。そこで支度をしましょう。こっちです」と御前小屋裏に案内

してくれた。強風で寒かったということもあるが、早く滑りたくて、テキパキと支度を整えた。


御前小屋直下は、カ


リカリのアイスバーン。落ちないようにしっかり板を雪面(氷面!)にくいこませ、トラバースする。斜度もあり、エッジが外れてしまえば、あっという間に落ちるなぁ、と緊張しながら移動。雪質が変わったあたりで、トラバースをやめて、斜面下に向かって滑り出した。ちょっと硬いので慎重にスタートしたが、「おお〜、最高〜」。雪は思っていたよりもいい雪だ。斜度がそこそこあるので適度にスピードが出て、自然とテンションが上がってくる。今シーズン、ゲレンデでたったの6日間しかない滑走日数。そのうち4日間は久しぶりにレッスンに入ってスキーの良い感覚だけは残っている。ポジション、角付を意識して滑り出したら、板と体がうまくシンクロし、気持ちよく滑る。標高を下げていくにしたがい、雪質はザラメになり、これまた走る楽しい瞬間だ。それはそれは最高の1本を満喫できた。テレマーカーのサトシンリーダーは道具の調子が悪かったようだったが、うまく調整しながら難なく降りてきた。この至極の1本は来シーズンまで“おあずけ”かと思うと、満足感と同時にまだ滑っていたい複雑な心境で今滑ったきたルートをしばらく眺めていた。再びシールをつけて雷鳥荘まで上り、山スキーは終了となった。

雷鳥荘で支度を整え、室堂へ。雪はかなり緩み、ズボッと雪を踏み抜き、抜け出るのに苦労する箇所もある。立山で最後の苦行だな、と感じながら登っている

と川島さんが「天気に恵まれて、あとは雷鳥に会えれば最高ね」と私がゲンナリしながら登っているのに反して、余裕いっぱいの笑顔で話している。みくりが池近くまで来たら、ハイマツのあるスポットでカメラを構えた人々の姿が数人いる。そう、雷鳥がいるのだ。我々も、リュックをデポして静かにそのスポットへ。ハイマツの中を覗き込むと、いるいる。オスとメスが。天気、滑りとここまではパーフェクトに整っていた。そして、最後の楽しみの一つ、雷鳥さんに会うことも叶ったのだった。

室堂のバスターミナルが見えるところまできた時、「ここでは、必ず、雄山に向かって挨拶するんです」と吉岡さん。

「2日間お天気で、素晴らしい景色をありがとうございました! 次もよろしくお願いします」と雄山に向かって挨拶し、立山を後にした。



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